尼崎市の池田司法書士事務所 代表司法書士の池田悦子です。
あっという間に二月です。
ワクチン接種が始まり、社会に少しでも安心な暮らしを取り戻せたらと願っています。
さて今回のテーマは「相続分の譲渡」です。
「相続放棄」という言葉はよく皆様聞かれると思います。
「相続放棄」というのは家庭裁判所が関与する手続きで、相続があったことを知ってから3カ月以内に家庭裁判所に「相続を放棄します!」と申述するというもので、相続放棄がなされると、そもそも相続人では無かったということになります。
相続放棄の場合は、そもそも相続人では無かったことになるので、プラスの財産もマイナスの財産も一切引継ぎません。
さて、この「相続放棄」ですが、多額の負債があった時は相続放棄の選択は妥当ですが、そうではなくて、ただ財産はいりません、相続分はいりません、という時は、わざわざ相続放棄をする必要は無いと私は考えています。
自分が相続人になった場合、もし相続分が要らなければ相続人間の「遺産分割協議」の中でいらないことを明示すれば良いです。
他の手続きとして、例えば被相続人(亡くなった方)が生前お世話になった方がいた場合、その人に自分が相続する相続分を渡したい場合は「相続分の譲渡」という手続きをとることができます。
例えばお父さんが亡くなったとして、相続人として3兄弟(長女・長男・次男)がいたとします。
長女が親の介護を最期までした場合、次男が「お姉ちゃんがお父さんを最期まで看たのだから、僕の相続分を全部お姉ちゃんにあげるよ。」と言ったとします。
その場合、次男の相続分3分の1をお姉ちゃんに譲渡することができます。
そうすると、長女3分の2、長男3分の1、次男0という相続分になります。
相続分の譲渡の場合、譲渡証明書に実印を押して印鑑証明書をつけます。
相続放棄のように3か月以内という期限や家庭裁判所の関与は不要です。
また、相続分の譲渡を受けた者は、たとえ相続と無関係の第三者であっても、譲渡を受けた相続分を持つ相続人として、相続財産を共有し、遺産分割協議に参加することができるようになります。
しかし、相続分の譲渡をしても借金などの債務については、支払い義務から逃れることはできません。
よって、債務が多い場合は相続分の譲渡ではなく相続放棄をする方が良いのです。
「相続放棄」という言葉をよく耳にするかと思いますが、私はお客様がどういう意味で相続放棄ということをおっしゃっているのか、専門職としてヒアリングして手続きを進めています。